失業保険を一度もらうと再申請不可?支援制度と手続きについて

query_builder 2025/04/16
コラム
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失業保険を一度もらうと、次はどうなるのかと不安に感じていませんか。再申請のタイミングや受給の条件、雇用保険の加入期間との関係性など、制度の仕組みは複雑で、自己都合退職や会社都合退職の違いによっても大きく影響を受けます。

 

「受給期間が短くなってしまうのでは」「再就職したけれど、すぐに辞めたらどうなるのか」など、再受給に関する疑問は尽きません。失業給付や基本手当の支給に必要な手続き、ハローワークでの認定や認定日、給付制限期間の注意点など、見落としやすいポイントも数多くあります。

 

制度を正しく理解しないまま過ごすことで、受給資格をリセットしてしまったり、申請のタイミングを逃してしまうことも。放置していると、生活への影響が大きくなりかねません。せっかくの権利を無駄にしないためにも、離職票の確認や求職活動の実績作成といった基本を押さえたうえで、制度の全体像を把握することが必要です。

 

雇用保険に関する条件は年齢や退職理由、過去の受給実績によっても異なり、制度の正確な把握こそが損失回避につながります。知らないことで損をする前に、失業保険に関する情報を整理して、生活設計に活かしていきましょう。

 

失業保険を一度もらうとどうなる?知っておきたい制度の基本と変化点

雇用保険の基本的な仕組み

雇用保険は、働く人が失業したときに一定期間、生活を支える役割を果たす制度として設けられています。失業保険と呼ばれる給付金の正確な名称は「基本手当」とされ、受給の対象は原則として一定期間以上、雇用保険に加入していた人です。正社員だけでなく、週に一定時間以上働いている契約社員やパートタイマーも被保険者として対象になる場合があります。

 

給付のためには「離職」後、ハローワークでの求職申込みが必要となり、「就職の意思と能力があること」が条件として求められます。ただし、すぐに就職できる状況にない場合や自らの意思で働かないといった場合は、受給資格を満たさないケースもあります。

 

失業給付の開始には「待機期間」と「給付制限期間」があります。自己都合による退職の場合、待機期間の7日間に加え、原則2~3か月の給付制限が課されます。一方、会社都合などの場合には給付制限がないため、早期の支給開始が可能です。

 

受給資格において重要なのが「雇用保険の加入期間」です。一般的には過去2年間のうち、被保険者期間が通算で12か月以上あることが基準です。ただし、会社都合退職など一部の条件では6か月で認定されることもあります。

 

年齢や離職理由、就労状況によって給付日数は変動します。高年齢者や長期勤務者、また特定受給資格者には、一般的な90日間よりも長い支給期間が設けられています。

 

以下の表は、受給日数の目安と主な条件をまとめたものです。

 

離職理由 加入期間の目安 支給開始の目安 支給日数の一例
自己都合 12か月以上 待機+給付制限 90日程度
会社都合 6か月以上 待機後すぐ 90~150日
高年齢退職者 条件により異なる 状況に応じて 最大240日以上

 

制度には「認定日」があり、これは受給者がハローワークへ出向き、求職活動の実績などを報告する日です。この認定を受けることで、失業保険の支給が継続されるため、スケジュール管理が求められます。

 

一定条件のもとでは「再就職手当」などの給付制度もあり、早期の就職を目指す人には追加支援が受けられる仕組みもあります。ただし、これらの手当は申請時期や就職先の条件を満たしていなければ受け取れません。

 

失業保険の受給は一度きりではなく、一定の条件を満たせば再度の申請も可能です。そのためにも、仕組みを理解し、退職前から準備をしておくことが重要です。正しい情報をもとに、制度を適切に活用することで、就職活動の不安を軽減し、生活の安定を図ることができます。

 

一度受給したあとの制度上の違い

一度失業保険を受給すると、次回の受給に影響が出るのではないかという不安を抱える方が少なくありません。実際には、一度もらったことがあっても、一定の条件を満たせば再び受給することは可能です。ただし、制度上いくつかの違いが生じるため、しっかりと確認しておく必要があります。

 

もっとも注意すべき点のひとつが「通算加入期間の扱い」です。失業保険の受給後に再就職し、その後にまた離職した場合、前回の受給で使われた加入期間は次の申請には使えません。つまり、雇用保険の期間はリセットされると考えたほうがよいでしょう。

 

過去2年間のうち12か月の加入が必要だとして、前回の受給に使用した月数を差し引いた上で、改めて条件を満たす必要があります。この条件が満たされないと、たとえ離職しても失業給付を受けることができないケースがあります。

 

再受給の際には「再就職後の就労期間」も影響します。短期間の再就職ののち再び離職した場合、次回の受給資格を得るためには一定期間以上の雇用保険加入が必要とされるため、就業の長さがカギになります。

 

自己都合での退職と会社都合とでは扱いに違いがあります。自己都合で短期間のうちに再び離職した場合、次の失業保険の給付制限が重くなる可能性があります。そのため、再受給を視野に入れている方は、退職理由にも配慮する必要があります。

 

再受給時には、受給日数にも差が出ることがあります。初回の給付で日数を多く消化していた場合、2回目の支給は短くなる可能性があるため、生活設計に直結する要素として注意すべきです。

 

再申請時の要件や取り扱いを整理すると以下のようになります。

 

項目 初回受給 2回目受給
雇用保険加入期間 12か月以上(自己都合) 前回分を除き、再度12か月必要
給付制限 自己都合あり・会社都合なし 自己都合では再度適用される可能性
支給開始時期 待機後、制限期間経過後 条件によって支給時期に影響
支給日数 状況により90〜150日 年齢・勤続・退職理由で短縮の可能性
影響する要素 離職理由、年齢、勤続期間 前回給付との関係、雇用保険の通算

 

再度受給を目指す方にとって重要なのは、雇用保険の加入期間を確実に積み上げることです。次の離職が近いと想定される場合には、できるだけ加入条件を意識しながら就労する必要があります。

 

再受給の手続きは初回と同様、ハローワークでの申請が必要であり、離職票や雇用保険被保険者証などの書類の提出が求められます。書類の不備があると手続きに遅れが生じるため、退職時に漏れなく準備しておくことが求められます。

 

再受給には計画性と準備が欠かせません。受給条件や制度の変化点を理解し、自身のキャリアや生活設計に沿って制度を有効に活用することが、将来の安心につながります。雇用保険制度は単なる給付ではなく、就職への支援と考えることで、より前向きな活用ができるでしょう。

 

再申請を考える際に確認すべき条件と時期

自己都合と会社都合で異なる再申請の流れ

失業保険の再申請を検討する際、自己都合退職と会社都合退職の違いを理解することは非常に重要です。まず確認すべきは、離職理由によって受給資格の取得タイミングや給付制限の有無が大きく異なる点です。

 

自己都合退職の場合、原則として退職後すぐには失業手当を受け取ることはできません。一定の待期期間に加えて、給付制限と呼ばれる約2カ月間の猶予期間が課され、その後ようやく支給が開始されます。一方で、会社都合退職では、待期期間のみで済み、比較的早期に受給が開始される点が特徴です。この違いにより、次回の再申請時にも扱いが変わってくるため、慎重な確認が必要です。

 

例えば前回が自己都合退職だった場合、再申請時に会社都合となれば条件は大きく緩和されます。そのため、再申請を行う際は、離職理由がどちらに分類されるかを必ず確認し、退職証明書などの記載内容とも照合しておきましょう。加えて、同じ会社からの離職であっても、契約形態が異なる場合や、期間満了による退職が認められるかどうかによっても受給条件に差が出ます。

 

再申請の際に影響を及ぼすのが前回の受給履歴です。過去の受給がある場合、「通算」という制度を活用できる可能性があります。これは、一定の条件を満たせば、以前の受給期間と現在の加入期間を合算して、再度受給資格を得られる制度です。ただし、受給期間が中途で終了しているかどうか、また再就職手当を受け取っているかによって条件が変わるため、個別の状況に応じた確認が必要です。

 

以下は、自己都合退職と会社都合退職における再申請時の主な違いを整理したものです。

 

項目 自己都合退職 会社都合退職
待期期間 約7日間 約7日間
給付制限 約2カ月の支給制限 なし
初回受給開始までの目安 約3カ月後 約8日~14日後
必要書類 離職票1、2、本人確認書類など 離職票1、2、会社都合である証明書など
通算制度の適用条件 一部適用可 一部適用可

 

再申請を視野に入れている場合、離職時に自己都合か会社都合かを明確にしておくことが、のちの申請手続きのスムーズさや支給スピードに直結します。ハローワークの窓口での確認に加えて、雇用保険被保険者離職証明書の記載内容についても念入りに確認することが望まれます。誤った分類がなされている場合には異議申立てが可能なため、受給者自身が制度を正しく理解しておくことが、損をしないための第一歩となります。

 

加入期間がリセットされる仕組みと注意点

失業保険を一度受け取ったあと、再び申請する際に多くの人が見落としがちなのが「加入期間のリセット」という制度上の特徴です。これは前回の失業手当の受給が終了した後、再度失業保険を受け取るためには、あらためて一定期間の雇用保険加入が必要になるという仕組みです。

 

雇用保険の再受給における「受給資格の再取得」は、一般的に直近2年間のうち、通算して12カ月以上の雇用保険への加入実績が求められます。ここで重要なのが、「被保険者期間」の起算が、前回の受給終了日から新たにカウントされる点です。つまり、前回の受給終了後に働いた期間だけが、新たな申請の対象として見なされるため、以前の加入期間は引き継がれないことになります。

 

特に注意したいのは、失業保険の受給が終わったあと、アルバイトやパートなど短期間の就労を経て再び退職したケースです。このような場合、再申請の際に「加入期間が不足している」と判断され、受給資格を得られない可能性があります。

 

加入期間のリセットは、再受給の際に「どれだけの期間が必要なのか」「前回と同様の給付日数が得られるのか」といった点にも影響します。以下のようなケースごとの必要な加入期間と対象となる給付期間を比較することで、計画的な再申請がしやすくなります。

 

前回の受給状況 次回の受給資格要件 給付日数の目安
全額受給完了 12カ月以上の新たな加入が必要 離職理由や年齢、雇用形態で異なる
途中で受給終了(再就職等) 通算適用が可能な場合がある 途中受給分の残りが再度適用される場合あり
再就職手当受給者 原則新たな12カ月加入が必要 一部免除されるケースあり

 

失業保険の加入期間を証明するためには、雇用保険被保険者証や雇用契約書、給与明細などが重要な資料となります。勤務先によってはハローワークへの届出が遅れるケースもあるため、自身でも雇用保険への加入がなされているか、月ごとに確認することが望ましいでしょう。

 

年齢によっても所定給付日数が異なり、特定受給資格者や高年齢者求職者など、要件によって受給可能な期間や金額が変動するため、制度の理解が曖昧なまま申請を進めるのは避けるべきです。特に高年齢者にとっては、失業保険の受給終了後に年金との切り替えタイミングを誤ると、空白期間が発生し、生活に大きな影響を与える可能性があります。

 

リセット制度を理解せずに再申請を行うと、「条件を満たしていない」として申請が却下されたり、受給開始までの期間が大幅に伸びてしまったりすることもあります。事前に十分な準備と確認を行い、必要な加入期間と必要書類を確実に揃えることが、再申請を成功させる鍵となります。

 

支給金額と期間の目安を理解して生活設計に役立てる

支給額の目安と計算に影響する要素

失業保険を活用する際、多くの方がまず気になるのが「どの程度の金額が支給されるのか」という点です。支給額は一律ではなく、被保険者がこれまで得てきた賃金や年齢、退職理由など複数の要素をもとに個別に算出されます。制度上は、離職前の平均給与をもとに一定の割合が支給額の目安となるため、収入状況によってかなりの違いが生じます。

 

支給額を決める重要な指標が「賃金日額」で、これは離職前の一定期間の賃金総額を日数で割って求めるものです。ここに所定の支給率が適用され、実際の手当の金額が決まります。支給率は賃金の高低や年齢層によって異なり、収入の低い層にはより手厚くなる傾向があります。

 

年齢が上がるにつれて支給額の上限が引き上げられる点も見逃せません。これは、高年齢層の生活コストや就職難易度などに配慮した制度設計によるものです。一方で、いくら収入が高かったとしても、支給額には上限が設けられており、一定額を超えるとそれ以上の手当は支給されません。

 

支給額の目安を理解しやすくするために、以下のような分類で傾向を整理することができます。

 

年齢層の目安 雇用形態の例 賃金水準 支給の傾向
若年層 正社員 平均的 中程度の支給が多い
中年層 派遣・契約社員 やや高め 上限に近い支給もある
高年齢層 パート・再雇用 低め 最低額付近が目安

 

なお、支給額の算出では、基本給に加えて残業手当や通勤費なども影響を与えることがあるため、月々の手取り額とは異なる結果になることもあります。実際の受給金額を正確に知りたい場合は、ハローワークの窓口で行われる個別の試算を活用するのが有効です。

 

自己都合退職と会社都合退職では、申請から支給開始までの期間に差が出る場合もあり、その間の生活資金に備えた準備が求められます。制度を正しく理解することで、申請後の金銭的なギャップに備えることができます。

 

都市部と地方では家計の支出構造も異なるため、特に東京や大阪などの生活コストが高い地域では、支給額だけに頼らず再就職活動の早期着手や副業による補填も検討に値します。

 

正しい情報と制度理解をもとに、支給額の見通しを立てることが、安心できる生活設計の第一歩となります。

 

支給期間の変動要因

失業保険の支給日数は、一律の設定ではなく、さまざまな条件によって個別に決定される仕組みです。そのため、制度を活用するうえでは、自分のケースがどの分類に当てはまるかを把握することが欠かせません。

 

支給日数は主に次のような要素に基づいて決定されます。

 

・退職理由(自己都合か会社都合か)
・被保険者として加入していた期間
・離職時の年齢

 

たとえば、自己都合退職の場合は支給日数が比較的短く設定され、かつ申請から支給開始までに待期と給付制限の期間があります。一方、倒産や解雇などの会社都合による離職であれば、比較的早く支給が始まり、かつ支給期間も長くなることが一般的です。

 

以下のような目安で支給日数が分類されています。

 

退職理由の違い 年齢層の目安 加入年数の目安 支給日数の傾向
自己都合退職 若年層 1年程度 比較的短めの支給
自己都合退職 中高年層 5年以上 やや長めの支給が多い
会社都合退職 中高年層 10年以上 長期間の支給対象となる
高年齢離職者 高齢者全般 20年以上 状況に応じて長期支給も

 

加えて、「再就職手当」や「就業促進定着手当」など、早期就職者に向けた追加支援制度も存在します。これらは、所定の支給日数を残したまま再就職した場合に、残日数に応じた手当が支給される制度で、再出発への後押しとなります。

 

ただし、注意点として「離職票」に記載された退職理由が実際の事情と異なる場合、支給日数やタイミングに影響が出る可能性があります。疑問がある場合は、ハローワークでの相談や、場合によっては弁護士のアドバイスを受けることも一つの手段です。

 

同じ条件下でも認定日や手続きの進行状況によって支給開始が前後することがありますので、余裕をもった申請とスケジュール管理が求められます。

 

支給日数を正確に把握することは、受給期間内に再就職を目指すスケジュールを立てるうえでも極めて重要です。とくに、家計を維持するための期間を見誤ると、生活の安定に影響が出る可能性があるため、各制度の条件や注意点をしっかり理解しておくことが求められます。

 

手続きの流れと必要な書類の確認ポイント

初回と再申請で異なる書類と流れ

失業保険の申請には、初回と再申請で異なる手続きと書類の準備が必要となります。特に再申請の場合には、前回の受給履歴や求職活動の有無が影響するため、事前の確認と整理が欠かせません。ここでは、初回申請と再申請の違いを分かりやすく整理し、手続き上の混乱を防ぐための要点を丁寧に解説します。

 

初回申請で必要とされる書類と基本的な流れは以下の通りです。

 

初回申請で必要な書類と流れ(一般的な自己都合退職の場合)

 

準備するもの 説明
離職票(1と2) 雇用主から交付される重要な書類
マイナンバーカード(または通知カード+身分証) 本人確認と情報照合に必要
印鑑 窓口での手続きに使用
写真付き証明書 運転免許証など(本人確認の補完)
預金通帳またはキャッシュカード 給付金の振込先を指定するため

 

初回の場合、退職理由の確認(会社都合か自己都合か)により、受給開始までの「給付制限期間」が異なり、ハローワークによる求職活動の実績確認が重要になります。

 

一方で、再申請の際は前回の受給状況や離職からの期間などが大きく影響します。再度の申請であっても、再就職してから一定期間以上雇用保険に加入していれば、再び受給資格を得られる可能性があります。

 

再申請で追加確認が必要な事項と書類例

 

確認項目 説明
前回の受給期間 終了日と通算受給回数を記録として提出
新たな離職票の提出 新たに退職した事業所から交付される書類
加入期間証明(場合により) 被保険者証や給与明細の写し等で補足可能
離職理由の確認 再び「自己都合退職」か「会社都合退職」か確認
求職活動の履歴 一部地域では、再申請者に直近活動の報告を求めることもある

 

再申請時には、ハローワーク職員による厳格な確認が入るケースもあります。過去に不正受給や虚偽申告が疑われた場合、申請プロセスが厳しくなり、認定に時間を要することもあります。

 

再申請時の手続きの中で特に注意が必要なのが「加入期間の通算」です。雇用保険の被保険者期間が6か月以上あることが前提条件となるため、転職などで短期間の就業を繰り返した場合には、制度上の受給資格が得られないこともあります。

 

再申請では「過去の受給履歴」が問われるため、以下のようなケースでは注意が必要です。

 

再申請時に生じる主な誤解と注意点

 

  1. 前回の離職票を再利用できると思っていた  → 再度退職した会社の発行する新しい離職票が必要です。
  2. 前回のハローワーク登録をそのまま使えると思っていた  → 通常は再登録が必要です。初回と同様に書類提出が求められます。
  3. 雇用保険に短期間でも加入していればOKだと思っていた  → 原則として6か月以上の被保険者期間が必要で、短期契約では受給資格が得られないこともあります。
  4. 再申請は簡略化されると聞いた  → 窓口対応がスムーズになる場合はありますが、書類は初回とほぼ同様です。

 

これらの情報を事前に整理することで、申請時の無駄なやり取りを避け、迅速な給付開始につながります。書類は漏れなく整えておくことが、生活設計上の安心にも直結します。受給までのスケジュールを立てやすくするためにも、初回と再申請の違いを確実に理解しておきましょう。

 

ハローワークでの申請手続きのながれ

失業保険の受給を希望する場合、ハローワークでの申請手続きは避けて通れない重要なステップです。特に初回申請と再申請では、来所タイミングや窓口対応、求職活動の扱いなどに細かな違いがあります。手続きを正しく理解しておくことで、不要なトラブルや遅延を防ぎ、スムーズな受給へとつながります。

 

まずは、申請手続きの全体像を押さえておきましょう。

 

初回申請と再申請の主な手続きの違い

 

手続き項目 初回申請 再申請
離職票の提出 必須。会社から交付された離職票1と2を提出 新たな勤務先からの離職票を再度提出
雇用保険の加入確認 過去2年間の被保険者期間の確認が必要 前回の受給履歴と加入期間の通算を確認
求職申込の登録 ハローワークで新規に求職申込書を作成 登録情報を更新。再登録手続きが必要な場合あり
説明会の出席 失業認定の流れやルールを説明する説明会に参加 省略される場合もあるが、地域により異なる
雇用保険受給資格者証 初回手続き後に交付 更新または再発行
認定日までの待機期間 7日間の待機+給付制限期間あり(自己都合時) 再度の給付制限の適用あり。直近退職理由に依存

 

初回の手続きでは、失業保険の仕組みや注意点についての説明会に参加することが義務付けられている地域が多く、その中で「雇用保険受給資格者証」や「失業認定申告書」などの書類の提出方法が案内されます。この段階で誤解や記入漏れがあると、受給の開始が大幅に遅れる可能性があるため注意が必要です。

 

再申請では、受給期間終了後に再就職し、一定期間以上働いたうえで再び離職した場合などに手続きが可能になります。この場合、過去の受給履歴や加入期間が確認され、受給資格の再判定が行われます。注意すべきは、前回の退職理由とは異なる内容であっても、今回の退職理由により再度の「給付制限期間」が発生する可能性がある点です。

 

再申請時の来所タイミングと注意点

 

  1. 離職直後の早期来所が原則  再申請であっても、退職からできるだけ早くハローワークに足を運ぶことが推奨されます。特に「離職日から1年以内」に申請しないと、給付資格そのものが消滅することもあります。
  2. 前回の登録情報の確認・修正が必要  住所変更や電話番号の変更がある場合は必ず修正手続きを行う必要があります。変更が反映されていないと、通知が届かずにトラブルになることも。
  3. 説明会が免除されるケースもある  一部のハローワークでは、前回の受給から短期間での再申請である場合、説明会への参加が免除されるケースがありますが、すべての地域に適用されるわけではありません。
  4. ハローワーク側からの詳細な確認がある場合も  短期間で複数回の申請をしている場合、職員による事情聴取や面談が行われることがあります。正当な離職理由が証明できない場合、受給が認められない可能性もあるため、証明資料の準備は入念にしておくべきです。

 

申請時の標準的な手続きフロー

 

1. ハローワーク窓口で求職申込書の提出

 

2. 離職票・本人確認書類・通帳(またはキャッシュカード)の提出

 

3. 雇用保険説明会への参加(初回のみ)

 

4. 雇用保険受給資格者証の発行

 

5. 待機期間7日間の経過確認

 

6. 初回認定日での求職活動報告

 

7. 認定後に失業手当の振込開始

 

なお、再申請時は「再度の認定日」が設定され、過去の求職活動実績が反映されることはなく、新たな求職活動が必須とされます。そのため、申請手続き直後からの就職活動が重要となります。

 

ハローワークの対応は地域により細部が異なることがあるため、申請前には必ず該当の管轄ハローワークに連絡を入れて詳細を確認することが推奨されます。公式サイトでも各ハローワークの取り扱いや申請書類のダウンロードが可能ですので、事前準備を怠らずに行いましょう。

 

確実な受給を目指すには、正確な書類提出と期限の管理が鍵です。安心して生活設計を立てるためにも、ハローワークでの流れを理解し、計画的に動きましょう。

 

まとめ

失業保険を一度もらうと、次回以降の受給に影響があるのかと心配する声は少なくありません。自己都合か会社都合かによって、受給資格の確認方法や支給期間の判断基準が異なるため、安易に前例に倣うのではなく、制度の正しい理解が求められます。

 

雇用保険の加入期間が一定以上でなければ受給資格が発生しない仕組みや、退職理由によっては給付制限が設けられるケースもあるなど、知らずに申請すると損をしてしまう可能性があります。再申請時には以前の受給履歴が影響することがあり、過去の受給実績や離職理由に応じた準備が重要となります。

 

支給される基本手当や失業給付を正しく活用するには、求職活動の実績をハローワークで適切に認定してもらう手続きや、認定日に合わせたスケジューリングも欠かせません。認定漏れや実績不足による給付の停止は、生活面に直接的な影響を及ぼすため、注意が必要です。

 

一方で、制度には再就職支援や教育訓練給付金といった選択肢も用意されており、失業を機にスキルアップや転職を目指す人にとっては前向きなチャンスにもなり得ます。受給条件の再確認や公的支援の活用により、次のキャリアステップへの備えも同時に行えます。

 

失業保険の仕組みは複雑に見えても、ポイントを押さえておけば自分にとって最適な選択ができるはずです。不安を減らし、損失を回避するためにも、退職後の手続きと支援制度を早めに把握しておくことが、これからの生活設計を安定させる大きな鍵となるでしょう。

 

よくある質問

Q. 失業保険を一度もらうと、次回の受給額や支給期間にどのような影響がありますか?
A. 一度失業保険を受給すると、その後の受給においては雇用保険の加入期間や退職理由などが厳密に再計算されるため、支給期間や支給額が変動する可能性があります。特に自己都合退職だった場合は、給付制限期間が発生したり、再申請時に必要な加入期間が延びることもあります。再就職先での賃金日額が前職より低いと、失業手当の金額が下がることもあるため注意が必要です。

 

Q. 加入期間がリセットされるとはどういう意味ですか?どのタイミングでリセットされるのでしょうか?
A. 雇用保険における加入期間のリセットとは、再度受給資格を得るために必要な期間の計算が初期化されることを意味します。原則として失業給付の支給終了後に、一定期間以上の雇用保険への再加入がなされていなければ、過去の加入期間は通算されません。離職後に再就職してからの期間や勤務形態が、次回の受給条件に大きく関係するため、リセットの仕組みを理解しておくことが重要です。

 

Q. 退職理由によって支給金額や日数がどのように変わるのか知りたいです。
A. 失業手当の支給金額や支給日数は、退職理由によって大きく異なります。会社都合退職の場合は給付制限がなく、早期に支給が開始される傾向がありますが、自己都合退職では数週間から数カ月の給付制限が設けられ、その間は支給を受けられません。受給期間も退職理由に応じて短縮または延長される場合があります。ハローワークでの認定に際しては、離職票に記載された理由が重要な判断基準となります。

 

Q. 教育訓練給付制度はどんな場合に使えるのですか?再申請中でも利用可能ですか?
A. 教育訓練給付制度は、雇用保険の被保険者として一定の加入期間を満たしていれば利用可能で、再就職を目指す人に対して再申請中でも対象となる場合があります。受講する講座が厚生労働大臣指定のものである必要があり、条件を満たせば受講費用の一部が支給される仕組みです。失業中のスキルアップを目的とする支援制度として非常に有用で、制度を活用することで早期の再就職に繋がるケースも増えています。事前にハローワークでの手続きと講座の選定が必要です。